本事例について
本記事では、社名掲載の許可を得ていない大手企業2社への研修を、企業A・企業Bとして紹介します。社名、業種、部署名、所在地、実施日、個人名など、企業や受講者の特定につながる情報は掲載していません。
2社の組織構成や受講者の習熟度は異なりましたが、共通していたのは、Microsoft 365 Copilotを導入しただけでは業務改善まで進みにくいという課題でした。そこでフィールフロウは、機能を覚えるための操作研修ではなく、受講者が自分の業務を見直し、Copilotを使う場面と次の行動を決める2日間の研修を設計しました。
共通の設計 — 研修前から、実務への接続を始める
1. 事前アンケートとヒアリングで、現在地を把握
研修前に、Copilotの利用頻度、よく使う機能、困っている業務、期待する成果を確認しました。同じ会社の中でも、日常的に使う人と、何から試せばよいか迷う人が混在します。
全員へ同じ機能を順番に説明するのではなく、現在の利用状況と実務上の課題をもとに、扱うアプリ、デモ、演習テーマ、サポートの厚さを調整しました。
2. 1日目は、基礎と共通言語をそろえる
1日目は、生成AIとMicrosoft 365 Copilotの基本的な考え方、指示の組み立て方、回答を検証する姿勢を共有しました。Teams、Outlook、Word、Excel、PowerPointなどの機能も扱いますが、説明だけで終えず、短い演習と振り返りを交互に行います。
演習では、Copilotへ何を頼むかだけでなく、「この業務は何のためにあるのか」「どの情報が必要なのか」を言葉にすることを重視しました。曖昧な業務をそのままAIへ渡しても、実務で使える成果にはつながりにくいためです。
3. 研修の間に、自分の業務を持ち込む
1日目と2日目の間には、日常業務の棚卸しやCopilotの試行を中間課題として設定しました。研修会場で用意された例題だけでなく、自分の業務で試し、うまくいかなかった点も含めて2日目へ持ち寄ります。
この中間課題が、基礎知識を「知っている」状態から、実務のどこで使えるかを考える状態へ移る橋渡しになりました。
4. 2日目は、業務分解から改善案と行動計画へ
2日目は、業務の目的、手順、入力情報、成果物、関係者を整理し、Copilotが支援できる箇所を検討しました。単純な時間短縮だけでなく、情報の抜け漏れ防止、判断材料の整理、企画の質の向上といった観点から改善案をつくります。
最後に、各自が研修後に試す業務、使う機能、確認する成果をアクションプランとしてまとめました。研修を「良い体験だった」で終わらせず、翌日からの実践へ接続するためです。
企業A — 大人数でも、個人の実務へ落とし込む
企業Aでは、複数拠点から多くの受講者が参加しました。習熟度や担当業務の幅が大きいため、1日目に共通の基礎をそろえ、2日目は受講者自身の業務一覧を使って課題分析と改善策の検討を行いました。
研修後の調査では、Copilotの利用頻度が上がり、「試し始めた」「一部の業務で実践している」という回答が多く確認されました。エージェント作成を扱った演習については、回答者のおよそ3割が実際にエージェントを作り、業務で試していました。
個別ヒアリングでは、これまで半日かかっていたマニュアルとの照合作業を20〜30分程度に短縮した例や、半日を要していた情報収集を数十分で進められるようになった例も確認できました。いずれも、業務を分解し、必要な情報と期待する出力を具体的に伝えるという研修内容を、自分の仕事へ適用した結果です。
一方で、受講後の実践度には差が残りました。研修で生まれた成功例を個人の工夫で終わらせず、部門内で共有する仕組みや、利用状況に応じたフォローアップが次の課題として見えてきました。
企業B — 対面の試行錯誤から、業務を言語化する
企業Bでは、異なる部門から集まった受講者を対象に、対面で2日間の研修を実施しました。受講者が自ら参加を希望していた一方、Copilotの習熟度や業務内容には差がありました。
研修では、講師のデモを見る時間よりも、受講者同士で相談しながら試す時間を重視しました。指示を変え、結果を比べ、うまくいかなければその場で業務の前提へ戻る。この短い試行錯誤を繰り返すことで、「まずCopilotで試してみる」という姿勢が研修後にも見られるようになりました。
受講後の振り返りでは、主に3つの成果を確認しました。
- 暗黙的に進めていた業務の目的や手順を、AIへ伝えられる形で言語化できた
- 議事録の要約、情報整理、次のアクション案の作成など、すぐ試せる活用を見つけた
- 必要な資料が散在している、入力データの形式がそろっていないといった、AI活用以前の業務課題を発見した
同時に、本社機能と現場部門など、役割が異なる受講者へ一つの演習を当てはめる限界も明確になりました。次の段階では、共通研修で得た基礎を土台に、部門ごとの業務プロセスやデータへ踏み込むことが重要です。
2社の実践から分かったこと
操作を覚えるだけでは、業務は変わらない
アプリごとの機能紹介は必要ですが、それだけでは「自分の仕事のどこで使うか」が決まりません。業務の目的、入力、判断、成果物を整理し、AIへ任せる部分と人が確認する部分を分けることが、実務活用の出発点になります。
2日間の間に実務で試すことで、学びが具体化する
1日で知識と演習を詰め込むより、基礎を学んだ後に自分の業務で試す期間を置くことで、2日目の質問と改善案が具体的になります。成功だけでなく、権限、保存場所、入力データ、社内ルールなどのつまずきも、次の学習材料になります。
研修後は、成功例を共有する仕組みが必要
使い始める人が現れても、その工夫が個人の中に閉じると組織全体の変化にはなりません。部門別のフォローアップ、社内の実践共有、プロンプトやエージェントの管理、成果物を確認する基準まで整えることで、研修を継続的な業務改善へつなげられます。
自社の業務を題材にした研修へ
フィールフロウは、決まった教材をそのまま提供するのではなく、事前調査、カリキュラム設計、2日間の研修、中間課題、受講後の振り返りまでを一つの支援として設計します。
Microsoft 365 Copilotを導入したものの活用が一部の社員に留まっている、操作研修の次に何をすべきか分からない、業務改善へつながる研修をつくりたいといった課題は、お問い合わせからご相談ください。
